生活習慣病とは?
栄養バランスの乱れ、運動・睡眠不足、喫煙・飲酒習慣、ストレスなど、日常生活におけるさまざまな「身体に良くないこと」の積み重ねによって進行する疾患の総称を「生活習慣病」と言います。かつては成人病と呼ばれていました。代表的な生活習慣病に、糖尿病、脂質異常症、高血圧があります。
心身の負担となる「治療」より、無理なく始められる「予防」を
生活習慣病は、いずれも自覚できる症状は少なく、多くの方が検査などで指摘を受けて初めて「生活習慣を改めよう」と考えます。しかし、生活習慣病はその名の通り、長年の悪い習慣の積み重ねによって進行します。検査で異常が見つかってからや、症状を自覚してからの治療では、それなりの時間がかかります。また、あるときから突然生活習慣を切り替えるというのは、大きなストレスともなります。
早い段階で、できれば健診などで指摘を受ける前から、「自分の現在地」を知り、「ゴールとなる生活習慣」を設定し、無理なくライフスタイルを移行させていきましょう。もちろん、当院でも予防のためのアドバイスを行っております。お気軽にご相談ください。
生活習慣病の原因
生活習慣病は、日常生活における、さまざま習慣の積み重ねによって進行します。
- 食事の栄養バランスの乱れ、食生活のリズムの乱れ
- 食べすぎ
- 運動不足
- 睡眠や休養の不足
- 喫煙習慣
- 過度の飲酒
- ストレス
- 肥満
- コレステロールが高くなりやすい体質
※遺伝も生活習慣病の発症・進行との関連性が指摘されています。生活習慣病の家系の方は、そのリスクが高くなると考えられています。
生活習慣病の3大疾患
糖尿病、脂質異常症、高血圧が代表的な生活習慣病です。いずれも早期には症状がほとんどありません。進行すると、命に関わる疾患、生活の質を著しく低下させる疾患を招く危険性をはらみます。
糖尿病
糖尿病は大きく分けて2種類がありますが、その95%以上を占めるのが「2型糖尿病」です。
生活習慣からの悪影響、特に内臓脂肪の増加により膵臓のインスリン分泌量が低下し、血糖値の上昇を抑えられなくなります。食後にこの状態に陥ることが、動脈硬化を促進させ、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
糖尿病の三大合併症である糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害も懸念されます。網膜症は最悪の場合には失明を招きますし、腎不全では透析治療が必要になります。これらは当然、生活の質を大きく低下させます。
糖尿病の治療
食事療法と運動療法、薬物療法が主となります。その他、さまざまな場面で生活習慣を改善していく必要があります。薬物療法では、インスリンの補充をしたり、分泌を促進させるお薬、血糖値の上昇を抑えるお薬などを使用します。
脂質異常症
LDL(悪玉)コレステロール値や中性脂肪値が高い、HDL(善玉)コレステロール値が低いといった場合に、脂質異常症と診断されます。動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞、その他血管にかかわる疾患のリスクが高まります。
生活習慣の他、糖尿病、内分泌疾患、甲状腺機能低下症、肝胆道系疾患、腎臓病といった疾患、また遺伝的要素が絡んで発症・進行することもあります。
脂質異常症の治療
コレステロール値を下げるお薬、中性脂肪値を下げるお薬などを使用して、薬物治療を行います。
また、食事療法、運動療法も大切です。
LDLコレステロール値や中性脂肪値を下げるためには、動物性脂肪を減らし、魚・納豆・豆腐・野菜・海藻・きのこ類などを積極的に摂るのが効果的です。加えて、適度な運動を行うのが良いでしょう。ただ、長らく運動をしてこなかった方、体力に不安があるという方は、ごく軽い運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)から始めるようにしてください。
高血圧
塩分過多の食事、運動不足、飲酒・喫煙などの生活習慣、また他の疾患の影響などによって、高血圧の状態に陥ります。
糖尿病や脂質異常症と同様、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などのリスクが上昇します。
血圧は一日の中で変動の幅が大きいため、決まった時間帯に測定することが大切です。
高血圧の治療
食事療法、運動療法、薬物療法が中心となります。
塩分摂取量に注意し、野菜を意識して摂るようにしましょう。果物は摂取カロリーが高くなることがありますので、特に糖尿病の方は控えた方が良い場合もあります。加えて、適度な運動を行うと良いでしょう。
薬物療法では、血圧を下げる降圧剤を主に使用します。
あなたの内臓脂肪をはかります
ウエストサイズが一定以上(男性85cm以上・女性90cm以上)であり、かつ高血糖・高血圧・脂質異常症の内の2つ以上の症状が見られる場合には「メタボリックシンドローム」という状態に該当します。
内臓に脂肪が多くついている可能性が高く、糖尿病・脂質異常症・高血圧と同様に、動脈硬化が進行します。そして、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症といった命に関わる疾患のリスクが上昇します。
当院では、院内に設置しているCTによって内臓脂肪を計る「ファットスキャン」を行っております。コンピュータ画像により、正確に内臓脂肪の量を調べることができます。
検査後は、必要な治療のご提案、日常生活におけるアドバイスなども行いますので、ぜひ一度、ご相談ください。
内臓脂肪測定(ファットスキャン):1,100円(税込)
生活習慣病を予防するために
生活習慣病の予防で大切なのは、治療においても重要視される「生活習慣の改善」です。
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食べ過ぎない
肥満は、インスリンの作用の低下、動脈硬化を招きます。毎食をお腹いっぱいになるまで食べたり、早食いをしたり、だらだらおやつを食べたりすることのないようにしましょう。 -
野菜・海藻・豆・大豆・魚をしっかり摂る
これらの食品は、食物繊維が豊富です。糖質や脂肪の吸収を遅らせて肥満を防止するとともに、血中コレステロールを低下させる効果があります。
またイワシやサバといった魚は、血液をさらさらにする効果が期待できます。 -
塩分摂取を控える
最近はスーパーなどでもおいしい加工食品・お惣菜などが売られています。ただ、そういった食品には塩分が多く含まれているものも見られます。高血圧などの原因となる塩分摂取の過多に、注意が必要です。 -
健康状態、体力、ライフスタイルに合った運動をする
今まで運動をしていなかったのに、いきなり強度の強い運動を始めるのは、膝や心臓に余計な負担をかけることがありますので控えましょう。初めはウォーキングや軽いジョギング、プールでの水中歩行などでも構いません。適度な運動で汗を流すのは、ストレスの解消にも役立ちます。
短距離のバス移動や一駅分の電車移動を徒歩移動にする、といった方法も良いでしょう。 -
禁煙する
喫煙は血圧の上昇、動脈硬化の進行を招きます。できる限り禁煙しましょう。
喫煙は、肺がん、喉頭がん、胃がん、気管支炎などの原因にもなります。 -
飲みすぎに注意する
お酒が好き、付き合いで飲まなければならない、という方も多いでしょう。ただ、飲みすぎは中性脂肪の増加、動脈硬化の進行を招きます。適度な量を守り、最低でも週に2日は休肝日をつくりましょう。 -
ストレスを溜めない
私たちが生きている以上、何かしらのストレスを感じます。趣味やリラックスタイムを意識してつくり、ときどきストレスを解消するようにしましょう。
生活習慣の予防はもとより、健康の維持のためにはスポーツを趣味にするのも良いでしょう。運動不足とストレスを同時に改善・解消できます。