性病かもしれない…と思ったら
性行為感染症(性病)は、性的接触を介して感染します。近年、特に若い年齢層を中心に、クラミジア感染症や淋病(淋菌感染症)、梅毒が急増しています。
性交(ペニスの膣への挿入)だけでなく、オーラルセックス(フェラチオ)、アナルセックスで感染することもあります。中には、進行して不妊の原因となるものもあります。
性的接触後、少しでも異変を感じたときには、できるだけ早くご相談ください。ほとんどの性行為感染症は、処方されたお薬によりしっかりと治すことができます。
性行為感染症の中には、まったく症状が現れないものもあります。不安なとき、また新しいパートナーとお付き合いを始めたときには、自覚症状がなくとも、二人でそれぞれ検査を受けられることをお勧めします。
こんな症状はありませんか?
- おりものの量が増えた
- かゆみなど、性器に今までなかった異変がある
- 性器のにおいが気になる
- 外陰部に痛み、かゆみがある など
主な性行為感染症(性病)
クラミジア感染症
クラミジアトラコマティスという病原体が、互いの粘膜の接触によって感染し、1~3週間の潜伏期間の後、発症します。
症状
女性の場合はほとんど症状がありません。無症状のケースも見られます。
検査
おりもの(分泌物)の検査により診断します。
治療
抗菌薬による治療が主となります。感染したまま放置していると、将来的な不妊、妊娠したときの流産、死産の原因となることもあります。
淋病
淋菌が性行為時の粘膜の接触で感染し、2~7日の潜伏期間を経て発症します。
症状
おりものの異変や不正出血などの症状が挙げられますが、無症状であることも珍しくありません。
検査
おりもの(分泌物)の検査により診断します。
治療
抗菌薬による治療が主となります。感染したまま放置していると、将来的な不妊の原因になることがあります。
また、感染した母体から生まれた赤ちゃんが「淋菌性結膜炎」になることもあります。
性器ヘルペス感染症
ヘルペスウイルスという病原体が、皮膚や粘膜病変部との接触によって感染し、2~10日の潜伏期間を経て発症します。
症状
性器のかゆみ、不快感が主な初期症状です。その後、びらんができ、激しい痛みが生じます。
検査
病変部を綿棒で擦る検査を行い、診断します。
治療
抗ヘルペスウイルス薬を使用した治療が主となります。治癒後、再発を起こすことも珍しくありません。
トリコモナス膣炎
トリコモナス原虫の寄生によって起こる膣炎です。膣から尿道、膀胱へと感染が広がると、尿道炎、膀胱炎、外陰炎などを合併します。主に、性的接触によって感染し、約3週間の潜伏期間を経て発症します。
症状
性器からの嫌なにおい、膿性・泡沫状のおりもの、外陰部のかゆみ・刺激感などの症状が見られます。ただし約半数は無症状です。
検査
おりもの(分泌物)の検査により診断します。
治療
内服薬、腟錠の使用で治療します。
尖圭コンジローマ
皮膚・粘膜との接触によりヒトパピローマウイルスが感染し、3週間~8か月の潜伏期間を経て発症します。性器にいぼ状の病変が発生するのが特徴です。
症状
腟の入口、大陰唇、小陰唇、会陰、肛門周辺にいぼ状のできものが発生します。ほとんど自覚症状がありません。かゆみ・違和感を伴うことがあります。
検査
病変部の観察により診断します。
治療
塗り薬、切除、液体窒素を使った凍結療法などの治療があります。
梅毒
梅毒トレポネーマという病原体が、性的接触における皮膚・粘膜病変部との接触によって感染し、感染後経過した期間によって症状の出現する場所や内容が異なります。
症状
第1期(約感染後3週間)
性器や口に赤く硬いしこり・ただれが生じます。
第2期(約感染後数か月)
発熱、全身のだるさを感じるようになり、さらにさまざまな発疹が皮膚に生じます。
第3期・第4期
10~30年後、心臓、血管、脳が冒されていきます。最悪の場合には死に至ります。
※母体が感染すると、赤ちゃんが「先天性梅毒」を発症することがある他、流産・死産のリスクが上昇します。
検査
血液検査により抗体を調べ、診断します。
治療
抗菌薬を使用して治療します。
HIV感染症
HIVウイルスに感染して起こります。感染すると免疫力が低下し、さまざまな病気にかかりやすくなります。その中で代表的な23の疾患のうちの1つを発症すると「エイズ」と診断を受けます。
性的接触による感染、血液感染、母子感染が見られます。
症状
感染後すぐは、風邪のような症状が現れることがありますが、無症状の場合もあります。
検査
血液検査により抗原抗体を調べ、診断します。
治療
HIVウイルスに感染すると、その後完全に治ることはありません。ただし、薬物療法によりウイルスの増殖を抑えたり、免疫力を維持したりして、日常生活を送ることは可能です。